2022.12.27GOALZ

「結婚式」―お孫さんの想いを叶えるために

今回のご依頼者は、ARC西宮(通所介護)と teon西宮(訪問看護)をご利用頂いている K氏の娘さま。ご依頼内容は、「息子の結婚式に父(K氏)にも参加してもらい、当日の父の移動などをサポートしてもらえますか?」というものでした。しかし、94 歳のK氏は自分のペースでとても穏やかに過ごされていますが、複数の疾病があるため適切な声かけやサポートが必要な状態です。

当初ご家族は、親族であるおじいちゃんが参加することで、ゲストの皆さまへのご対応が疎かになってしまうのではないかという気持ちが大きく、おじいちゃんの参加を諦めておられました。しかし、息子さまは幼い頃一緒に遊んでくれた祖父との思い出の写真を見ると、やはり祖父にも結婚式に出てもらい、退場シーンを一緒に歩きたい! という強い想いが湧き上がってきたと。この想いを知り、普段K氏に関わっている私たちであればサポートができるのではないかと思い、式の1カ月半前から準備を進めていきました。

K氏の体調を踏まえて、メインである退場シーンをどのようにしてサポートするか――当社の理学療法士や介護福祉士らとご家族それぞれの立場で情報交換を行いました。特に息子さんとの退場シーンにおいては、当日をイメージしながら担当理学療法士が歩行練習を進めるなど、K氏の安全に配慮しながら、ご家族の想いを実現していく過程はとても有意義な時間になりました。

緊張とワクワクのなか迎えた結婚式当日。担当したのは、普段からK氏に関わっているARC西宮の介護福祉士です。K氏の体調面を考慮して、退場シーン以外は控室で過ごしていただくこともプランしていましたが、最初から最後まで会場のテーブルでご家族と一緒にお過ごしいただけました。また、最大の見せ場である退場シーンは、お孫さまと一緒に杖を使って歩くことができました。更には介護福祉士のアイデアで、K氏がお孫さまに宛てて書いた直筆メッセージを退場シーンにお渡しするというサプライズにも大成功!

披露宴が終わり控室に戻られたK氏は、お孫さまからのプレゼントの小箱を握りしめたまま、車椅子に座ったまま眠っておられたそうです。そんなK氏のお姿を目の当たりにした介護福祉士は涙が溢れるほどの感動を味わい、これこそが私たちの職務であると改めて実感できたようです。お孫さまの希望が実現し、またおじいちゃんの「孫のためにしてあげたい」というお気持ちも叶ったように思います。きっと......。